2 風景を形づくるもの

 
農村風景を形づくるものは地形や動植物、農地、建物や施設構造物、農作業、季節変化、気温や風雨などの気象、匂いに至るまで様々な要素である。 
 風景は日々の暮らしの中で様々な要素によって形づくられてきた眺めを審美的に捉えたものと言えるので、風景からそこの暮らしを推察することができる。しかし、人々の暮らしは個人の意志とは別に多くの制約によっても成り立っている。風景からその暮らしを審美的に評価することは簡単だが、その奥に隠れているものを理解することも重要だと考えている。
 前ページはどこにでもあるような農村風景の一年を田んぼを中心に示したが、この風景から見えないものがある。
 農村の暮らしは1)農業政策、2)農業技術の変化、3)土地改良、4)農業関係者の意識が大きく関わっている。

 1)農業政策上の問題
  産業としての農業の確立を目指して昭和36年に農業基本法が制定された。しかし、いまだに農業の産業化は実現していない。目の前に補助金をぶら下げて従わせる誘導政策を繰り返してきただけである。いい例が減反政策である。昭和45年前後から始まった米の生産調整である。これは強制一律減反で、田んぼの多少に関わらず各農家に一律に減反配分させられた。平成9年には更に減反が増やされ、36%の減反となった。これはいまだに課せられている。
 これにより以下のことが起きている。
 @耕地面積の減少
  ・毎年約2万ha以上の減少。
 A農家の減少
  ・高齢化によるリタイア者の増加
 B後継者の農業離れ
  ・二種兼業化への加速


●転作の風景
野菜転作(ピーマン)牧草転作 

穀物転作(ムギ)  大豆転作田にアメリカセンダングサの紅葉が

転作には以下のものがある。
 ・野菜(ピーマン、トマト、キウリなど)
 ・穀物(大豆、麦など)
 ・花卉(リンドウ、ストックなど)
 ・景観転作(ナノハナ、コスモスなど)
 ・調整水田(田植えをしないで水を張っただけの水田)
これらは水田として復旧できることが求められている。      
農村に暮らしていて感じることは減反政策が風景にも大きく影響を与えていることである。
 @後継者の農業離れ
 A農民の高齢化
 B農作業の変化
  ・家畜の減少
  ・刈草の焼却、放置
  ・畦畔植生の変化
 C放棄田の出現
  ・外来種の侵入

  

上の写真のように本来生育していたホタルブクロ、キンポウゲ、エゾタンポポなどは見られなくなり、ヘラオオバコやギシギシなどの植物が増加した。
原因はわからないが、より生命力の強い種の侵入は畦畔土壌の富栄養化が原因なのかも知れない。

   
ギシギシ群落が見られる畦畔                           ヘラオオバコ

家畜の減少は牧草転作田の管理が粗くなる。放棄田へは外来種の侵入がおこる。

  
野草が侵入して花畑を形成                                   放棄されると外来種が侵入(セイタカアワダチソウ)                    河川敷には一面のセイタカアワダチソウが侵入









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